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犬用ワクチチェック 使用例

投稿日:2018年3月29日 更新日:

犬用ワクチチェックを実際にやってみました

トリマーさんのチワワちゃん2匹が1月に混合ワクチンの追加接種予定でしたが、

バタバタしていてなかなか病院に連れてこれなかったので延びていました。

そうこうしているうちに当院では犬用ワクチチェックを導入したので、

実際の検査作業確認と検査結果の検証のために、

先日、彼女のワンコちゃんたちに協力してもらい検査を実施しました。

採血量は5~10μl、時間は30分

検査に必要な血液量は全血(血液そのもの)でも10μl、

血清(血液を遠心分離した上清み部分)ならわずか5μlで済みます。

これは非常に少ない量で驚きです。

例えば、血液化学検査の全身スクリーニングに必要な最低量は血清量として200μl、

これは最低量なので普通は300μl以上は用意しますが、

これは血清量なので単純にヘマトクリット値50%とすると全血量としては倍量必要になります。

もし血清・血漿のみでの検査だと、血液量として最低でも600μl(0.6ml)は必要で、

遠心分離をしてギリギリまで血清がとれるわけではないので、

結局のところ1mlくらいは血をいただきます・・・ということになります。

これが普通の全身スクリーニング検査のときの量です。

フィラリア検査、膵炎の検査など、もちろん全身スクリーニングより少量で済む検査もありますが、

5~10μlというのはなかなかありませんし、

血清や血漿だけでなく全血で検査できるのは現場の人間としては非常に助かります。

検査は、同じプレートで最大12頭まで検査できます。

今回は2頭同時に実施しました。

検査にかかる時間は23分ですが、採血から検査結果まで30分みてもらうほうがよさそうです。

2匹の結果は・・・

トリマーさんのチワワちゃん2匹、

お母さんチワワとその娘ちゃんチワワの結果はコチラ↓。

右の2本の短冊みたいなものが反応コームカードを2頭分切り取ったものです(全部で12柵あるので)。

左はワクチチェックに付属の検査証明書になります。

当院ではこれ以外に抗体陽性証明書を発行します。

短冊は右がお母さんワンコ、左が娘ワンコの結果です。

短冊部分に丸い点々で反応結果がでていますが、最上段がコントロールスポットと言って、

検査が正しく行われているかどうかを判断し、

かつ動物の実際の抗体量を色の濃淡で評価するために比較する部分です。

丸い点々は上から順に、陽性コントロール、アデノウイルス、パルボウイルス、ジステンパーウイルスのスポットです。

陽性コントロールの色を3として、同等以上3~6が陽性、0~2は陰性です。

写真でわかるように、2匹とも濃淡の差はあれど、全てのウイルスで陽性コントロールより濃い結果が得られました。

評価は陽性コントロールを3として判定用の定規みたいなのものを使います。

ですが、単純に陽性コントロールと同じか濃い色が出ていれば「陽性」です。

コアワクチン追加接種の必要性なし

この結果により、トリマーさんの2匹のワンちゃんたちはいずれも、

5種混合ワクチン追加接種の必要がないという判断をしました。

ただ、実験的に半年後にも検査を実施してみようと思っています。

母ワンコよりも娘ワンコのほうが同じ陽性でも色は多少薄いので、

特に娘ワンコの半年後の検査結果に関心があります。

半年後、またご報告いたします。

検査の実施は飼い主さんそれぞれで

ワクチンの追加接種のお知らせが来たら、

ワクチチェックを行うか行わないで今まで通り無条件に追加接種するかは、

飼い主さんそれぞれで決めてください。

当院では5種ワクチンよりも低価格でワクチチェックを行うことができますが、

ワクチチェックで陰性となればワクチチェックの料金とワクチン接種の料金がかかってしまいますので、

ワクチチェックを行わずにこれまで通り混合ワクチン接種をするという選択肢もアリです。

利用施設によってはワクチチェックの結果を理解してもらえないところもあるかもしれませんし、

前もって施設のそういった方針がわかっていればワクチチェックをする必要はなく、

副反応のリスクを理解してワクチン接種するしかありません。

予測される問題については以下の記事に考えうる限りを載せていますのでぜひご覧になってください。

関連記事:犬用ワクチチェックの導入について

あれこれ考えるのが面倒、今まで副反応の心配をしたことがないという方は、

これまで通り1年毎の追加接種をするということでも良いと思います。

検査のしくみ

ここからは、犬用ワクチチェックを導入しようかなと考えている同業者の方に参考になればと思い、

ちょっとだけ専門的なお話です。

検査はELISAとドットブロットを合わせたものなのですが、

抗原抗体反応をさせるための付属容器(プレート)には、

1検体につき6つの穴(槽)にすでに反応液(血清希釈液、コンジュゲート、洗浄液、発色液)が入っています。

コンジュゲートとは抗原と反応した動物の抗体に印をつけて発色させるためのものでこれも抗体です。

シールされている反応槽を開ける付属のピンセットには多少ツッコミたくなることはありますが、

用意された反応槽のうち、

最初の槽のシールをピンセットで破り穴に検体(全血または血清、血漿)を入れて、

付属のコームカード(前出の写真の短冊)を各槽に、

5分、2分、5分、2分・・・などと順番に浸漬するだけなので簡単です。

検体は保管しているものでもできそうです。

どれくらい保管期間が取れるのかは問い合わせてみないとわかりませんが、

使用手引きに「冷蔵保存してあるものは常温に戻し・・・」という記述があるので、

例えばその日に来院した方の数頭分をその日の夜にまとめて検査、ということは可能かと思います。

私が大学時代にさんざんやっていたELISAや電気泳動の作業に比べたら、

手技はとても簡単で誰でもできるように作られており、

検査結果のバラつきに影響するような作業もないだろうと感じました。

検体の5μlとか10μlとかを正確に測定することさえ怠らなければ、

その後の反応に影響はないと思います。

また、最初の血清希釈槽の検体混和時に泡立てないことも重要かと思うので、

ピペット操作は丁寧にやったほうがよさそうです。

以上のような感じで手技的に結果を出すのは簡単ですが、

そのドットの色を用いて抗体価を判定するには多少の主観が入ります。

最初のコントロールスポットの色の決定には微妙なところもあります。

ですが、コントロールの色と実際の検体の結果の色を比較すれば良く、

コントロールより濃いか、薄いかは絶対に判定できるので、

正確な抗体価の評価はともかく、「陽性」か「陰性」かは明らかにわかります。

導入を考えている病院さんがありましたら、ぜひ参考にしていただければと思います。

関連記事:犬用ワクチチェックの導入について

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