フィラリア予防について
犬糸状虫(フィラリア)は、蚊が媒介し、犬の心臓に寄生する寄生虫です。
当院では5月20日ごろからの予防をお勧めしています。
必ず事前に血液検査を!
予防の前には必ず血中ミクロフィラリアの確認が必要です。
ミクロフィラリアの確認は、昨年の予防がしっかりできているかどうかの確認です。
獣医師によっては事前の確認検査をせずにお薬を出すことがありますが、
非常に危険な行為だということを知ってください。
また、肝臓が悪かったり、高齢でほとんどお外へ出ないワンちゃんなどは、
投薬期間、投薬の是非などについて検討すべきと思いますのでご相談ください。
健康診断のススメ
血中ミクロフィラリアの確認検査において採血した血液を用いて、
全身スクリーニング検査が可能です。
特にシニア期のワンちゃんは1年に1回の健康チェックができる良い機会なので、
ぜひ利用いただければと思います。
お薬はいろいろ
フィラリア予防のお薬は、飲ませるお薬、垂らすお薬、注射などさまざまです。
当院では、フィラリアと共にお腹の虫も駆除するお薬で、飲ませるお薬がメインです。
個々の状況やご希望によっては他のお薬を利用することもあります。
また、ノミ・マダニも同時に駆除&予防できるオールインワンタイプも扱っています。
ちょっとだけフィラリアの話…
フィラリア虫は、蚊から感染し犬の心臓へ寄生すると、
心臓の弁の動きや血流を阻害して心臓に負担をかけることで心不全になったり、
全身から帰ってくる血液が入りにくくなり将来的には肝硬変になって腹水が溜まったり、
徐々に徐々に進行して様々な苦しい症状を引き起こします。
小型犬では突然死することもありますし、
心臓に本来いるはずのないものがいるので、
そのことによって体に起る問題は少なくありません。
無症状ですごす時期があるため飼い主さんは気が付かず、
咳や喀血、食欲不振、運動不耐性など症状が出てきた時にはかなり重篤になっています。
昔から恐れられてきた寄生虫病ですが、
近年では使いやすいお薬が登場したことにより、
予防率が高まりフィラリア感染子虫を持っていない蚊も増えたので、
フィラリア症の犬を見ることは少なくなりました。
でも、少なくなったからといってやめてしまうと、
すぐに蔓延する力を持っている寄生虫です。
飼い主さんたちの中には、お薬を使うことに否定的な方もいます。
確かに薬は無害ではありません。
ですが、薬を使わなければ死んでしまう病気もあり、
予防や治療の進歩も平均寿命が延びた一因となっています。
怖い病気を減らしていくために、
できる限り副作用を少なくする努力をメーカーさんもしています。
病気を経験した人は、あんな辛い思いをするなら予防しようという気になりますが、
経験をしたことがなければ苦しさもつらさも良く分かりません。
狂犬病と同じように、ひとたび蔓延したら恐ろしい病気は多々あります。
そういった病気の中には予防ができないものもあります。
ですが、比較的安心して使えるお薬でしっかり予防ができるのであれば、
苦しい思いをさせないためにも予防することが私たちの務めだと思っています。