ワンちゃんの混合ワクチン入荷しました
品薄状態がつづき、ご心配をおかけしていた犬の混合ワクチンですが、先週入荷いたしました。お知らせが遅くなり申し訳ありません。
当院では通常5種混合、9種混合ワクチンを取り扱っておりますが、5種混合については当面のあいだ入荷の予定がないため、しばらくは6種混合ワクチン、9種混合ワクチンの取り扱いとなりますことをご了承ください。
なお、5種、6種混合ワクチンをご利用の方には、ワクチチェックによる抗体価測定をおすすめしています。
世界小動物獣医師会で必ず予防が必要とされているのは、狂犬病ウイルス、ジステンパーウイルス、パルボウイルス、アデノウイルス1型、2型による感染症です。これらを予防するワクチンをコアワクチンと呼び、それ以外のものはノンコアワクチンと呼んでいます。
猫では猫鼻気管炎ウイルス、猫カリシウイルス、猫汎白血球減少症ウイルスの予防がコアワクチン、猫白血病やクラミジア、猫エイズはノンコアワクチンです。
さて、犬の話に戻りますが、国内では狂犬病ワクチンは単独のワクチン、その他は5種以上のワクチンに含まれており、最小限必要なコアワクチンは5種混合ワクチンになります。
ワクチチェックはジステンパー、パルボ、アデノウイルスに対する抗体価を調べることができ、これらの抗体価が陽性であれば5種混合ワクチンの追加接種は延期できることになります。
5種混合ワクチンにはパラインフルエンザウイルス、6種にはさらにコロナウイルスに対する予防効果がありますが、これはノンコアワクチンで念のため含まれているだけであり、単独で感染しても命にかかわることはない感染症なので、抗体価が残っているかどうか調べなくても心配する必要はありません。
ただし、あくまでも5種混合ワクチンは最小限の予防ということを知ってください。
ワクチンとワクチチェックについて詳しい説明はこちら
地域によっては7種以上のワクチンが必要
東京23区においては一般的な市街地であれば5種ワクチンでも十分ですが、東京でも郊外にお住まいの方、地方への旅行へワンちゃんを連れていくことが多い方、川や湖などの水辺で遊ばせることが多い方などは、レプトスピラ感染症という細菌による伝染病に注意しないといけないため、7種以上のワクチンが必要になることがあります。
ペットホテルやドッグランなど、ご利用の施設によってはコアワクチンとノンコアワクチンに対する知識がなく、ワクチチェックについても周知されていない地域もあるため、盲目的に混合ワクチンを「接種」していないと利用させてもらえない場合もあるかと思います。
当院では2017年にワクチチェックを導入して以来、ドッグランなどの施設を利用する予定がある飼い主さんには、抗体価が陽性だった場合にお渡しする抗体価陽性証明書で対応してくれるかどうかを確認してもらっています。
混合ワクチン接種証明書でなければ対応してもらえない場合、抗体価陽性証明書に対応してくれる別の施設さんを探すか、どうしてもその施設を利用したければ接種するしかありません。残念ながら現状ではこうするしかありません。
2019年9月現在、これまで抗体価証明書で利用できなかった施設さんはなく、きちんと正しく理解してもらえていると思っていました。
ところが先日、旅行中にとある施設さんを利用しようとした飼い主さんから「5種混合ワクチン接種証明書でないと施設は利用できないと言われた」とのお電話をいただきました。
抗体価陽性証明書は、5種混合ワクチンを接種しているのと同等の効果があるということを施設の担当者の方に説明もしましたが、理解していただけなかったため、飼い主さんは施設の利用を断念せざるを得ませんでした。
例えばペットホテルなどの利用の際に、現地で「これは使えない」と言われてしまうと大変なことになるので、必ず事前に施設に確認をしていただくほうが良いのと、5種ワクチンでは予防が不十分な地域に行く場合、7種以上の証明書が必要なこともあるかもしれないので、どんな証明書が必要なのか、必ず確かめてから利用先を決めてください。
また、ワクチンでは予防できない伝染病もあります。普段の生活と違う行動を取るときは、事前に動物病院へご相談いただければと思います。